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iPS細胞 


京都大学教授・山中伸弥さんが、ノーベル医学生理学賞を受賞しました。この分野では,日本人としては利根川進さんに次いで2人目で、25年ぶりだそうです。

山中さんが研究するiPS細胞induced pluripotent stem cell)とは、直訳すれば“人工多能性幹細胞”。心臓や胃腸など、どんな器官にもなりうる分化多能性を持った細胞です。簡単に万能細胞と呼ぶ人もいますが、究極の万能細胞と呼べるのは本来受精卵だけで、受精卵以外のすべての細胞は、多かれ少なかれ自分の進む道が決められていて、それ以外の細胞になることはできませんでした。ところがiPS細胞は,分化した細胞から作られているにもかかわらず,受精卵にほぼ等しい万能の分化能を持っているそうです。

よく比較されるES細胞Embryonic stem cell・胚性幹細胞)ですが、これは受精卵から作るもので、ヒトに育つ可能性がある受精卵を壊して取り出すことには以前より倫理的な側面から反発する声がありました。加えて、自分とは異なる遺伝子を持った受精卵なので、再生医療として組織を再生する場合には、自分の細胞からとった細胞核を移植して、遺伝子の組み換えをする必要があり、それが大変な難題となっておりました。

山中教授のiPS細胞は皮膚細胞に特定の遺伝子だけを入れてES細胞のような状態にするわけで、しかも患者自身からiPS細胞を作るので、拒絶反応の無い移植用組織や臓器の作製が可能になります。

このiPS細胞から肝臓や心臓、網膜の細胞も作ることが出来るわけです。例えばインシュリンを作る膵臓も作ることが出来るわけですから、現在糖尿病で苦しんでいる非常に沢山の患者たちにも、ものすごく明るい日差しが射してきたわけです。今回ノーベル賞を獲ったことで、ますます研究が加速度的に進み、パーキンソン病やアルツハイマーも含め、この数年で完治する難病も出てくるかも知れません。

確かに、まだまだ臨床応用する上では、いくつかのハードルもあることは事実です。iPS細胞は万能の分化能を持っている反面として、体内で癌化・特に奇形種というがんになりやすいという問題点があるようです。今ではc-Myc(シーミック)と呼ばれるガンの原因遺伝子を使わない方法も発見され、ガン化する確立も大幅に軽減しましたが、遺伝子を細胞に組み込むときに媒体として使うレトロウイルス自体もガン化を促す原因となることもあるらしく、まだまだこれをどのように抑えるかが臨床応用する上で第一の関門だそうです。


山中教授がインタビューに答える姿を拝見していると、いつも姿勢は正しくキリッとされていて、冷静沈着、それでいて優しく誠実そうな受け答え、また、ときどき受賞者にありがちの奇異なところは特になく、ニュートラルな感じがしてたいへん好感度が高いです。誰にでも好かれる人ではないでしょうか。しかも、骨折回数が10回以上というところだけは私と似ていて、これには大変親近感が湧きました。真面目そうな見た目とは裏腹に、その経歴はとてもユニークでしたので、ここに少しプロフィールを。


山中教授略歴:
1962年(昭和37年)東大阪市出身。小学校時代から大学一回生まで、奈良市学園前に居住。父親はミシンを作る町工場を経営。

大阪教育大学附属天王寺中学校から高等学部を経て神戸大学へ。卒業後(1987年)、国立大阪病院(旧大阪陸軍病院)整形外科で臨床研修医として勤務。普通、他人が20分で出来る手術に2時間もかかるほどの不器用で、同僚から“じゃま中”とあだ名が付く。医者には向いてないと感じ、自ら病院を退職、1989年に大阪市立大学大学院に入学。薬理学の研究を開始した。傍ら科学雑誌の公募に片っ端から応募し、1993年薬理学専攻博士課程修了と同時にカリフォルニア大学サンフランシスコ校グラッドストーン研究所へ博士研究員として留学。帰国後は大阪市立大学薬理学教室助手に就任(1996年)。しかし、そこの研究環境の米国との落差に苦しみ、研究医より給料の良い整形外科医へ戻ろうと半ば決意した中、科学雑誌で見つけた奈良先端科学技術大学院大学の助教授の公募に「どうせだめだろうから、研究職を辞めるきっかけのために。」と考え、応募(1999年)。しかし、それが予想に反して見事(?)合格! 学校側は実績もなく、まったく新しい分野を開拓するという同氏を採用した。ここはアメリカ時代と似た研究環境で、再び基礎研究を再開した。当時支援を受けた研究費は5年間で3億円。iPS細胞を開発完成させた(このときは胚細胞から)。

その後、2004年に京都大学に移り、07年には人間の皮膚細胞からiPS細胞を生成する技術を開発完成させた。この年日本政府は難病治療の可能性や研究の波及効果を見込み、5年で70億円を同教授に支援することを決定した。京都大学は08年に特許管理会社「iPSアカデミアジャパン」を設立、iPS研究成果の共有や共同研究の拡大を推進しており、欧米などでも特許を取得した。日本国内約60カ所の製薬会社や研究所がiPSアカデミアジャパンの特許を利用して関連技術や薬品・装置を開発している。
日本政府は今回のノーベル賞受賞を機に関連商品の世界市場先制計画を続々と発表している。87億円を投じ、関連研究や製品開発を支援するシステムの構築を決めたほか、国際標準化を目標に、iPS細胞の培養や品質を評価する機器を開発することにしているようだ。

中学~大学2年までは柔道部(高校のとき2段取得)、大学3年からはラグビー部で骨折回数は10回以上。現在はジョギングが趣味らしく、今年(2012)iPS基金への寄付を呼びかけて参加した京都マラソンでは4時間3分19秒で完走。



余談ですが、ノーベル賞受賞の電話を受けた時、故障した洗濯機の修理をしていた最中だった、というのも大変好感が持てました。

 

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